2007-02-06 Tue 23:58
晴れ渡る空、心地好い風、澄んだ空気、清らかな川の流れ…そんな山の中に彼女はいた。
「やば…」 渓谷の崖の木にぶら下がっている。 下には急流が見える。 落ちたらただでは済まないだろう。 「まずった…あんなとこで足を滑らすなんて…」 足場の悪い所を歩いていたので細心の注意は払っていたのだが、腐った草に足を滑らしてしまった。 ポケットからトランシーバーを取り出す。 「Lから3隊どうぞ」 ……………。 出ない。 「Lから3隊どうぞ」 「……どうぞ」 繋がった。 「D地点の崖に落ちた。救助を頼む」 「すぐ向かう」 助かった…訓練を受けているとはいえ、この落差……普通の人ならば震えが止まらないだろう。 「流石の私だって怖いっての」 早く来てくれと心の中で叫ぶ。 ガサガサ… 「莉(れい)!!大丈夫か!!」 「あ~!?んな訳ねーよ。早く上げて!!」 仲間が直ぐ様ロープを垂らした。 先の輪をベルトに引っ掛けて合図を出す。 「よし、上げろ!!」 あっと言う間に莉の体は崖の上に上がった。 「サンキューロン。助かった」 「たまたま近くに居たからな。一体どうした?」 「そこから滑った。我ながら情けないったらもう…」 「お前うちの要なんだから気を付けれよ」 「うるせー。ロンだって近くに居たって事は最後尾だろ」 「違う!!二番目だ。まだ一人後ろに居る!!」 変わんねぇよと喉まで出かかった。 「まぁとにかく先を急ごう。こんな訓練で残業なんて嫌だ」 「滑った奴が何を言うか」 後ろから思いきりどついてやった。 スポンサーサイト
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