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頂き物 淡雪(a's)

2006-09-06 Wed 05:22
a'sさんから淡雪の続きを頂きました。
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淡雪 5~7

2006-09-06 Wed 01:58
「駄目だ。暑いから何度濡らしてもすぐ温くなってしまう」
「氷でもあれば良いのでしょうけど…」
何かないだろうかと考えている政太郎の目に一軒の商店が目に入った。
「僕あそこの店で冷たいもの買って来ます。ハンカチよりもましでしょう」
そう言って走ろうとしたとき、
「まあ!!尚子お嬢様!!こんなところにいらっしゃったのですか!?随分とお捜し致しました」
「ご免なさいばあや、すぐ帰るつもりだったのだけど…」
女性―尚子の家の者なのか?
「ご家族の方ですか?」
現状を報告せねばと思い尋ねてみた……が。
「なんですかあなたは!!まさかお嬢様に何かしようと!?」
「え!?」
政太郎はぎょっとした。
「待ってばあや!この人は私を助けて下さったの。私さっきそこで転んでしまって…今も足を冷やして下さっていたの」
「まあなんと!!お怪我をなさったのですか!?すぐにお医者様にお見せしなくては…申し訳ございません。突然の無礼をお許し下さいませ」
先程と違う態度に戸惑ってしまう。
「い…いえ、気になさらないでください」
申し訳なさそうな表情を浮かべ"ばあや"が尚子のほうに向き直ると、
「さぁお嬢様帰りますよ」
と、言いながら尚子の日傘を広げようとするが、「おや?」と動きが止まる。
「…ご免なさい…転んだときに骨が折れてしまったの。せっかくばあやがくださったのに…」
申し訳なさそうに尚子が口をひらく。
「何をおっしゃいますか。形在るものいつかは壊れるのです。また良いのを探しましょう」
なぐさめるように言い、政太郎に「では」と言って二人は歩き出した。
「あの!」
二人が振り返る。
何を言うかも考えていないのに先に口が動いてしまった。
「あの…えと…よろしければ僕が直しましょうか?…う…うち修理屋なんで…駄目ですか?…」
恐る恐るばあやにうかがう。
「でも―」
「本当に?お願いしても良いのですか?良かったぁ私この日傘が一等気に入っていて…良かったぁ」
ばあやを遮って尚子がはしゃぐ。
政太郎も自分から言ってしまった以上退くに退けず、
「1週間後またこの公園へ来れますか?そのころには出来ていますから」
「わかりました。では一週間後に」
日傘を政太郎に渡しまた二人は歩き出した。
とんでもないことをしたような心境を抱えつつも笑顔で見送った。





翌日、政太郎は一人自室で唸っていた。
「…どうしよう…父さんに頼むかな…でも自分から言い出したし…何よりなんで先に気付かなかったんだろう…」
相手の話し方等で十分"金持ち"の娘とわかっていたのに、持っていた物が外国製というのに気付かなかった。
「よく見ればわかったのに…布もかなり上等だし…骨も複雑…きちんと見ればすぐ外国製だとわかるのに…」
残りは6日。
だが時間があればというものでもない。
もし、万が一布を汚したら…傷つけたら…そう考えるとさらに手がだせなくなっていた。
「これはもう諦めよう…父さんに頼んだ方が綺麗に仕上がるし…何よりも布が厄介だ」
そう決めて父の所へ向かった。
「父さん、ちょっといい?」
「おう、政太郎か。どうした?」
振り返りながら政太郎に応える。
「この日傘を直してもらいたいんだ。友人に頼まれたんだけど、外国製で」
どれ、と政太郎から日傘を受取り広げてみる。
「こりゃ立派なもんだなぁ…なんだ?その友達は良いとこのお嬢さんか?お前もすみにおけねぇなぁ」
おもむろに父から目をそらす。
「こりゃかなり難しいぞ。お前にゃ無理だな。そうだなぁ…2、3日かかるがいいか?」
「え!?それくらいで出来るの?」
いくらこの辺で腕が良いと評判の父でももうすこしかかると思った。
「これくらいの折れ具合ならすぐなんだがな…ただ布がなぁ…で、いいのか?」
「あぁ、うん。大丈夫。じゃあお願いします」
まかせろと自信ありげな父の顔を見て自室にもどる。
これならなんとかなるだろうと安心して勉学に意識を向けるが、片隅で早く来週にならないかと尚子に会うのが待ちきれない自分がいた。





一週間後、ついに約束の日が来た。
政太郎は一人緊張して公園で待っていた。
ふと日傘を見る。
仕上がりは…良い出来だ。
父さんに頼んで正解だった。
自分でやらなかった事に対して後ろめたさは感じるが彼女の大切なものなのだから…と自分に言い聞かせる。
30分後尚子がやってきた。
「ごめんなさい…お待たせしてしまって…」
「い…いえ。全然。今来たとろこですので」
声が裏返る様な緊張を必死で抑えたつもりだったが…笑われた。
必死で笑いを堪えているのだが肩が揺れている。
穴があったら入りたいとはこういう気持ちなんだろうなと思った。
「あの…これ」
日傘を渡さないといけないので何とか平静を装う。
すると尚子も笑いを抑えて「ありがとうございます」と言って日傘を受取り広げてみる。
「わあ…綺麗です。どこが折れたかわからないですね。良かった」
本当に嬉しそうで政太郎もホッとした。
政太郎はもう少し話をしたいと思ったが二度も…というのは変だろうと思い「では、これで…」と帰ろうとした。
「あの!」
今度は尚子が声をかけた。
「あの…もしよろしければ…もっとお話しませんか?あの…あなたのお休みの日とか…もしよろしければで良いんです!本当に…」
びっくりした。
「あの、僕なんかで相手になりますか?」
対した言葉を交したわけでもないのになぜ?
「私…友人という方が全然居なくて…これも何かの縁ですし…あの本当にあなたが嫌でなければなので…」
ただ単純に嬉しかった。
「僕でよければ喜んで。僕は政太郎と言います。雨宮政太郎」
下を向いたままだった尚子が顔をあげた。
どことなく嬉しそうだ。
「わ…私は神崎尚子と申します」
政太郎がすっと手を差し出す。
それに尚子も応え握手を交す。
「では…毎週この時間にというのは?」
「はい」
今度は二人笑顔で別れた。
政太郎は嬉しくて今にも叫びだしそうだった。
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